【代表コラム】私立大学の広報に「閉塞感」を感じたら。機能価値から「情緒価値」への転換

教育機関を取り巻く環境が激変するなか、多くの大学が「自学の強みや個性をどう打ち出すべきか」という問いに直面しています。
先日、ある私立大学の経営層・事務局の方とお話しさせていただく機会がありました。その際、次のような切実なご相談をいただいたのです。
「本学の強みがどこにあるのか、学内でも確信が持てない」
「広報に閉塞感があり、ターゲット層に響いている実感がわかない」
18歳人口が減少し、“大学戦国時代”と言われる今、 情報の波に埋もれず、選ばれる大学であり続けるためには、これまでの広報の「ものさし」をアップデートする必要があるのかもしれません。
スペック比較の限界。なぜ「機能価値」だけでは届かないのか
そこで私がお話しさせていただいたのは、「かつて大学は『機能価値』で選ばれていましたが、今は『情緒価値』で選ばれる時代へとシフトしています」ということです。関係者の方々は、「詳しく教えてください」と、深い関心を示してくださいました。
機能価値とは、数値化・客観視できる、いわば「カタログスペック」を指します。
- 偏差値や入試難易度
- 国家試験の合格率や実就職率
- キャンパスの立地や最新施設の充実度
これらは大学選びの「最低条件(衛生要因)」として依然として重要です。しかし、情報が飽和している現代、受験生や保護者はスマートフォン一つで膨大なスペック比較が可能です。
数値の僅かな差を競い合うだけでは、他校との決定的な差別化には繋がらず、結果として「どこも似たようなことを言っている」という広報の閉塞感を生んでしまいます。
時代は「情緒価値」へ。感性と共感に訴える広報の視点
機能価値が「頭で理解させる情報」であるならば、これからの鍵を握る「情緒価値」は「心で感じる価値」です。
- 「この大学での4年間を通じて、自分はどう成長できるのか」
- 「この場所には、どんな熱量を持った仲間や教員がいるのか」
- 「ここで過ごす時間が、自分の人生にどんな物語を添えてくれるのか」
こうした、数値化できない体験の予感や、大学が掲げる理念への共感こそが情緒価値の本質です。
特に今の受験生やその保護者世代は、「正しい情報(機能)」で納得し、「心動かされる物語(情緒)」で入学を決意する傾向があります。
スペックの羅列を卒業し、大学の持つ「熱量」や「固有の空気感」を言語化・視覚化していくことが、今の広報に求められている最大のミッションです。
「機能」を「情緒」へ翻訳する。PRの力が閉塞感を打破する
大学関係者の方々との対話の中で私が強調したのは、情報の「翻訳」の重要性です。
「機能」を伝えるのが「説明」であるならば、「情緒」を伝えるのは「PR(パブリック・リレーションズ)」の役割です。
例えば、「最新の実験設備がある(機能)」という事実を、「学生が失敗を恐れず、未知の領域へチャレンジし続けるための舞台(情緒)」として語り直す。
あるいは「就職率が高い」という結果を、「一人ひとりの学生が、自分の望む未来を自らの手で掴み取るための4年間のストーリー」としてコンテンツ化する。
事実(ファクト)の裏側にある「想い」や「教育の哲学」を抽出し、ターゲットの感性に響く文脈へと編み直すこと。この丁寧なプロセスこそが、埋もれていた大学の真の強みを浮き彫りにし、閉塞感を打ち破る突破口となります。
地域の志を、確かな形に「結ぶ」ために
この「情緒価値への転換」という視点は、大学広報に限った話ではありません。行政が推進する重要な施策や、社会課題に挑むスタートアップの事業も全く同じです。
「正しさ(機能)」を伝えるだけでは、人は動きません。そこに「共感(情緒)」を結びつけることで、初めてプロジェクトは地域に根を張り、社会実装へと向かいます。
MUSUBI planningでは、こうした「伝えきれていない本質的な価値」を掘り起こし、戦略的な広報・PRの力で社会と結び直すお手伝いをしています。
- 自組織の「独自の強み」を再定義し、言葉にしたい
- 広報の次の一手が見えず、外部の視点を取り入れたい
- 構想段階のプロジェクトを、行政や地域と連携させたい
もし、皆様の活動のなかで、今の発信に限界や停滞感を感じていらっしゃいましたら、ぜひ一度、壁打ちの相手としてお声がけください。
皆様が大切にされている「志」が、地域の未来と正しく結ばれるよう、誠心誠意サポートさせていただきます。
